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一日待たされてL.P.に降り立った時、世にこのようなすばらしいところがあるのかと感激した。この感じはC1、C2、……と標高を上げる度に強くなったが、頂上に立てたらもっと強い印象をもったことだろう。
しかし、この感激を得るデナリ登頂はまことに難しい。
一つは、天候の変化の激しさとその予測の難しさにある。天気は一日のうち何度も変わるし、好天になっても長くは続かない。世界中の天気を予測しているはずの米国が自国の最高峰の天気を予測できず、C4やC5のNPSのレインジャーが判で押したように「明日も今日と同じように悪い」では何を信じてよいのだろう。
二つは、氷河登行に必要な物資はすべて自隊で運ばねばならないことである。Alaska Mountaineering Schoolの募集要綱やNPSお薦めのColby Coombs「Denali West Buttress」に従うと、それも膨大なものとなる。
三つは、国内で経験できないクレバス対応である。
今般の遠征隊は、これをまとめて解決する、恰好の隊であったが、残念ながら天候に恵まれなさすぎた。デナリ登頂にかけた私の気持ちも燃焼しつくされていない。
それではもう一度行くか。答えを出すには、相当の時間と気持の整理が必要であろう。 |