中道宏 デナリ遠征記録
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トレイニング
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 Denali遠征の最も特異なところは、必要とするものすべてを長期間にわたって自隊で運ばねばならないことではないか。(今般の遠征ではD、Eの相当の負担でA、B、Cは相当楽をしたが、それでも入山日には私は17kg強を背負い、20kg弱のソリを曳いた。日々軽量化されたが、その分高度が上がり、楽にはならない。)このための体力、持久力をいかに養成するか、Denali登行を固めた時からいくつかの対策を実行した。しかし、いずれも全体として体力をつけることは望むべくもなく、ただ老齢者に唯一許された筋力を向上させることを目標とした。



 数年前DenaliについてNPSから情報を得、たまたまAlaska Mountaineering Schoolに資料を請求した。その中に“Denali登頂を望むなら、まずジムでStair Masterを、そして毎日アンクルウェイトを”とあった。前者はすでに実行していたので、後者についてジムの指導者に相談し、0.5kgから始めた。
 最初の1ヶ月はまことにつらく、ジムの指導者が言われたように大変であった。半年後1kgに上げると3週間はまことにつらかった。更に半年後から1.2、1.6、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0kgに小きざみに上げ、今、3kgを半年以上常時つけている。3kgともなると背広のズボンの裾からはみ出すので、少々恥かしい思いをしている。



 時間ができると、アルプスの稜線をテントをもって1人で歩く。その最後の日は、例えば次のように長駆した。

大天井岳 → 槍ヶ岳 → 上高地
新越山荘 → 針ノ木峠 → 船窪小屋 → 七倉
双六池 → 笠ヶ岳 → 笠新道 → 新穂高

 これは1日早く東京に戻れ、家族も喜ぶという副産物付きである。
 また若い友人に誘われて、72kmの尾根を24時間以内で縦走する都岳連山岳耐久レースに一昨年出場し、完歩した。



 アルプス、ヒマラヤ等の氷河の山の経験はなく、昨年ニュージーランドのMt.Cook登頂を計画した際、地元のガイド会社Adventure Consultantsで3日間の氷河登行の訓練を受けただけである。これはガイドと1:1の山行でクレバスに落下した際の自己脱出、落下者の救出である。これは大変勉強になったので、ノートにまとめておいたが、今回これを活かすようなことは想定されていなかった。
 あまり経験のなかったスノーシューについては北八ヶ岳の縦走で履いて、その効用を確認し、スキーヤーがいなくなったピラタスの斜面を何度か上下した。



 通っていたジムが東京都の都合で廃止された代替に、自宅が入っている10階建てのアパートの階段を(アンクルウェイトもつけて)7往復することとした。正確に測定してみると、毎朝177mの山を1時間弱で往復している計算になる。更にこの1年サブザックに負荷を入れている。負荷は5kgから始め順次増加させ、この4ヶ月は25kgである。この場合下りにおいて、一段づつ踏み残した脚に負荷をかけて折り(スクワットと同じ)、踏み出した脚に負荷をかけないでその靴底を平らにつけるようにした。
 これは原則毎朝早起きし、ストレッチ、腕立て伏せ、腹筋後実行したが、効果があったのではないか。



 負荷をかけ、雪上を歩くため、5月の連休に南アの聖岳に出かけた。雪が少なく、薮こぎの様相となり、あまり効果はなかったのではないか。
 この遠征の1週間前、中島佳範ガイドと1日で白馬主稜を登り、大雪渓を下山した。 登頂日を想定してのことであったが、残念ながら効果は確認できなかった。

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