1. はじめに
山行の愉しみは、個人やグループが自ら企画し、準備し、実行することにある。しかし、これはそれまでに培われた個人やグループの能力次第であり、私のように第一線を退いた後、組織的な訓練も受けず、素人なりに山行を愉しんできた者には自ずと限界があり、国内でもヴァリエーションルートなどはガイド山行に頼っている。
一度はヒマラヤを、できれば8000mをと願っていたら、今秋のチョー・オユー登山国際公募隊に受けいれていただいた。素人の、非組織人にとっては誠に有り難いことである。
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「アイスフォールのトラヴァース(Active Mountain 田村真司氏撮影)」 |
数は僅かであるが私の海外登山は天候に恵まれない。2002年のアコンカグアは登頂できたものの、2004年のマウントクックは到着前から天候が悪く、雪崩事故が発生し、山容を見ることなく帰国し、また2005年のデナリはアタックキャンプで天候回復を7日間待ったものの、時間切れで敗退している。今回は登頂中止・撤退が途中決定されたが、最後に天気が好転し、登頂できる素晴らしい山行となった。
ヒマラヤ、8000m、国際公募隊、いずれも初めての経験であり、記録を残すこととした。もちろん自ら企画し、準備し、実行したものではなく、公募登山に参加した素人の記録であり、事実誤認、勘違いも多々あると思う。
なお、チョー・オユーはネパールと中国(チベット自治区)の国境にあり、チベット語で「トルコ玉の神」を意味する世界第6位の高峰で、山頂の酸素は地上の3分の1であるが、比較的に登り易いとされている。
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