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山小舎をもつ1

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普通の家がもてなかった

 子供のときに野菜作り、庭作りを手伝った。前者は敗戦後の食糧補給のため、後者は父の趣味である。これが結構楽しかったのか、いつしか第一線を退いたときには庭つきの普通の家をもち、花や野菜を育てたいと考えていた。
 その機が来て家内と普通の家をさがし求めたが、バブル崩壊後といえども現実は厳しく、ローンのために働き続けるのはいや(私)、通勤・通学がさらに不便になるのはいや(子供)ということですぐに断念した。

別荘地に土地を借りる

 アパート住まいを続けるが、別に倉庫を借りて部屋を広く使い、市民農園を借りて花を作ること、また宅地を農村に求めて住むことも検討した。特に後者は魅力的であるが、しばらくは二重生活とならざるをえないこと、そうなると農村の活性化にも迷惑を与えかねないことから現実的でなかった。
 最近「現代農業」の増刊号として「定年帰農」、「田園就職」、「田園住宅」、「定年帰農2」が出版され好評であり、私もよい企画と思うが、私たちに適したであろうものは見出せないでいる。
 その他いろいろ迷った末の結論が別荘地に山小舎をもつことであった。管理会社があり、施設も一応整い、面倒でない。情報も的確である。

  海の近くや平場にも結構別荘地はある。ソローの「森の生活」にかぶれていたわけでもない。しかし、二人とも最初から山と考えていた。私の場合、若いころ山を歩き、再び山を歩きたいと願っていたこと、学生時代仲間と比良山に山小舎を造った、よい想い出からであろう。最近のように情報誌がなかったので、週末いろいろな別荘地を車でまわった。きちんと比較検討することもなく、感じと価格から蓼科に借地を求めた。多摩から少し遠く、高速道路も渋滞することが多いが、四季利用でき、今のところよい選択であったと思っている。
 後日求めた(財)日本地図センターの25万分の1レリーフマツプ「富士山・日本アルプス」のほぼ真中に位置している。偶然ではあるが、これをひそかに自慢している。
 なお、この別荘地会社の皆さんには、その後も何かとお世話いただくことになった。

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