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 ある人の言によると、別荘は男が手に入れたいと願望する三つのうちの一つである。しかし、これらは手に入れた途端、管理が大変であることに気づくとのことである。まさに名言である。
 日常的なことから逃れ、非日常的なことに身を置くことは人生に相当の余裕と刺激を与えてくれる。旅行や登山がその例であろう。山小舎はどうか。金をかけて管理を他にゆだねれば非日常的になりうるが、私たちは山小舎の生活を日常的なものとしたことから、いくつかの仕事をこなさなければならない。

運転

 自家用車で多摩から往復している。渋滞時間帯を避ければ、2時間余の道程なので疲れない。大抵CD等で音楽を聴いている。服装は普段着、荷造りはダンボールですませられるのが最大の利点である。車は往復だけでなく山小舎滞在中も必需品である。

掃除、洗濯

 離れる前に掃除機をかける。狭いから簡単である。この後、衣類、シーツ等を洗濯機から取り出して室内に架けておくと、翌週にはきれいに乾いている。

料理

料理の写真
一人のときは簡単にする。

 一人のときは当然自分で、二人のときは家内が作る。いずれも可能な限り簡単にする。食材は基礎的なものは山小舎に置いておき、野菜等は多摩にあるものを持ってきて、余れば持ち帰る。ときどき近くのレストランまで歩き、おいしい料理を愉しむ。来客のあるときとバーベキューのときは私が用意する。食材の魚、肉等は多摩で用意するが、夏季の野菜などはJA諏訪の婦人部の出品や別荘地内の青空市場で求める。美味しくて安い。登山や留学でやむを得ず身につけた、あらゆる食材は火にかければ食べられるといった程度の私の技術を美味しい空気と水、非日常的な焚火、それに酒が加わり、一応悦んでいただいている。

バーベキューの写真
美味しい空気と水、焚火、それに酒がバーベキューを盛り上げる。

 食通で料理が好きなKTさん、KNさんたちがレシピを披露してくれるのはまことにうれしい。本当に美味しく、レベルの違いを実感させられる。

水落し

 夏季以外は山小舎を離れるとき、すべての水廻りから完全に水を落す。なかなか面倒な作業であるが、凍結による器具の破壊を防ぐために失敗が許されない。一度ボイラーのパイプが破れ、ここでも高い授業料を払っている。当然のことながら到着時には逆の作業をする。水が出、お湯が出、風呂の追い炊きができるようになって、やっと落ち着ける。